前回のコラムで、PC費用のスペックや利用形態の見直しによる購入費用削減についてご紹介をしました。今回は、PC機器費用の価格交渉による購入費用削減について少し詳しく解説します。また、機器費用の次に大きなコストである保守費用の削減方法についてご紹介します。

PC機器費用の単価交渉

価格交渉の大まかな手順として、まずは現在の契約情報を確認し、同じ条件でいくつかのサプライヤーに相見積もりをとります。価格交渉は、「サプライヤーマネジメント」の代表的な手法の1つです。

サプライヤーマネジメントとは、サプライヤー(仕入先、供給元)に働きかけ、契約を見直すことでコストを適正化することを指します。サプライヤーマネジメントとして、大きく二つの方法があります。

1つ目は、複数のベンダーに相見積もりをかけたり、競売させることにより、1社の見積もりで判断する以上に良い条件を引き出すことです。いわゆるベンダー比較です。1社の見積もりで調達を決めてしまうのではなく、必ず適正価格を調査し、より良い交渉条件を引き出すことが重要です。

2つ目は、バイイングパワー(購買力)をもった状態で交渉に臨むことです。複数のサプライヤーに発注しており、サプライヤーあたりの発注総量が分散している場合、サプライヤーを集約することで1社あたりの調達総量を高め、バイイングパワーを最大限に高めた上で交渉に臨むことができます。

契約締結時と現在で調達総量が増加しているにも関わらず、契約時の価格条件のままで調達をしてしまっているケースがないかなど、この機会にぜひ見直しを行ってみてください。

適切な価格交渉を行うためには、契約形態や契約期間、支払い方法、現在使用しているPCの基本情報など、契約情報を細かく把握するといった事前準備をしておくことも大切です。

PC保守費用の削減方法

次に、購入費用と並んで価格の大部分を占める保守費用についてです。こちらは「原価積算」を用いて削減を検討します。

原価積算とは、サプライヤーが材を提供する際にかかっているコストを項目ごとに積み上げ、適正な価格を概算し比較するアプローチです。つまり、サプライヤーがサービス提供に要するコストを推計するということです。

保守費用の内訳は、主に以下の項目から成っています。

■保守費用=部品代+人件費+経費・管理費

これら保守費用の内訳をサプライヤー側に開示してもらい、それぞれが適切な価格であるかを試算していきます。

<部品代>

かかっているであろう部品の単価を積算資料などを用いて推計し、価格の妥当性を確認する

<人件費>

要員数や要員単価が適切かどうかを確認する

<経費・管理費>

上記以外にかかっている、サービス提供にかかわるその他の費用を概算する

さらにベンチマーク比較するなどしてこれらが適切な価格かどうか確認します。このようなプロセスを踏んだ上で、価格の高さが気になる費用項目があれば、サプライヤーに値下げを打診してみる、といった流れになります。

また、保守費用の削減方法として、保守頻度の確認といった打ち手もあります。頻繁に保守が行われていると判断される場合には、頻度を減らすことで保守費用の削減を図ることができるかもしれませんので、リサーチをして保守頻度が高すぎないかを確認してみましょう。

コスト削減効果は?

◆インパクト:大  小
◆難易度:★☆☆☆☆
◆効果発現時期:短期 中期 長期

 

価格交渉は、単に値段が下がればいいというものでもありません。取引先と、中長期を見据えた関係性をつくりながら、良い条件を獲得することが求められます。そのため、自社情報の整理やベンチマーク比較などはきちんと行った上で打診、交渉することが望ましいでしょう。短期的に効果が出やすい施策になりますので、この機会にPCの機器費用及び保守費用について見直しをされてみてはいかがでしょうか。