企業がモノ・サービスを購入する際、役立つのが「相見積もり」です。相見積もりには、知っておくべきいくつかのポイントがあることをご存知でしょうか。

ポイントを抑え、効果的に相見積もりを実践することで、コスト削減やガバナンス強化など様々なメリットを手にすることができます。今回は、企業が行うべき相見積もりの3つメリットと交渉の4つのポイントについてご紹介します。

「相見積もり」とは何か

まずは「相見積もり」の定義をおさらいしてみましょう。相見積もりとは、物やサービスを購入する際に、複数の業者に見積もりを取り、価格や条件を比較することです。

個人や企業が製品を購入するとき、もしくは新たな取引先を決めるときに、1社から見積もりを取るだけでは、その条件が良いのかどうかを判断することは難しい場合がほとんどではないでしょうか。

より最適な条件で調達をするために、複数のサプライヤーを比較検討することが重要です。特に、事業活動を行うためにさまざまな物品やサービスを調達する必要がある企業にとっては、相見積もりは不可欠なプロセスといえるでしょう。

相見積もりをとる3つのメリット

次に企業が相見積もりをとるメリットを確認しておきましょう。相見積もりのプロセスを実施するメリットは、大きく3つあります。

1. 要件が明確になり、最適なモノ・サービスを選択できる

相見積もりをとる最大のメリットは、相見積もりのプロセスを通じて自社にとって重要な要件が明確になることです。また、それによって最適なモノ・サービスを選択しやすくなることです。
相見積もりのプロセスは、まず自社内で発注条件を整理し、決定することからスタートします。発注条件とは利用目的の整理と、それに即した期限・スペック・仕様・価格といった選定条件を決めていくことです。
考えなしに感覚でベンダーを選定することは危険です。業務に必要十分な製品・サービスを選ぶことができる度合いに、大きな差が生じるからです。サプライヤーを選定する軸を明確にし、調達を成功に導きましょう。

2. 価格が下がり、コスト削減効果が得られる

2つめのメリットは、適正な価格条件を引き出すことでコスト削減効果を得られることです。
相見積もりを取ることで、複数の選択肢から適正な価格を判断しやすくなります。またサプライヤーの競争環境を醸成することで、より踏み込んだ価格交渉を行いやすくなるでしょう。「Harvard Kennedy Study」の調査では、企業は6社以上の会社から相見積もりをとることで、最安価格での調達を実現しやすくなるということです。

3. 不適切な取引防止、ガバナンス強化につながる

3つ目は、相見積もりプロセスをとることで不適切な取引を防ぎ、企業ガバナンスの強化につながることです。
企業が大きくなるにつれ、調達量や調達先のサプライヤー数は増え、その管理プロセスが煩雑になります。グローバル企業では、現地サプライヤーとの取引も盛んに行われるでしょう。こうした状況下では、不適切な取引が行われるリスクも大きくなります。
相見積もりを通じて複数のサプライヤーを比較検討し、明確な選定理由に基づいた意思決定をすることで、取引の妥当性を担保することができるのです。

相見積もり時のポイントや交渉マナー

相見積もりのプロセスには、抑えておきたい4つのポイントがあります。

①事前にサプライヤーに伝える

相見積もりを取得する場合は、相見積もりをとることを必ず事前にサプライヤーに伝えるようにしましょう。見積もりの作成・調整業務など、依頼先にも業務負荷をかけることになりますので、最低限のマナーとしておさえておきたいですね。また、これによってサプライヤー側も競争環境を意識することになり、特に価格面で踏み込んだ条件を提示されやすくなるかもしれません。

②予算・要望・納期を伝える

自社にとって最適な見積もりをもらうためにも、予算・要望・納期といった情報は明確に伝えるようにしましょう。また、相見積もりを取得するベンダー間で情報格差が出ないよう、一律な情報共有を徹底します。こうすることで、サプライヤーにとってフェアな条件でプロセスを進めることができるでしょう。

③同条件で比較する

取得した見積もりは、スペックや仕様、価格など様々な条件を揃えて比較しましょう。例えば、購入後のサポート内容が自社で確実に利用するものであるなら、これを利用する前提で条件を揃え、比較検討しましょう。全く異なるサービスを価格だけで比較し判断するのは適切ではないでしょう。

④3社以上に見積もりを出す

すでに紹介している通り、相見積もりの効果を最大化するためには、一定数以上のサプライヤーに見積もり依頼をする必要があります。最低でも3社以上は比較をすべきでしょう。「Harvard Kennedy Study」では、6社以上に見積もり依頼を出すべきだと結論づけています。

まとめ

モノやサービスを調達する際のゴールは、自社の利用目的に最も合った製品要件を満たす選択肢を選び、実際に活用することです。そのための手段としての「相見積もり」。メリットを理解いただけたら、ポイントやマナーを抑えたうえで上手に交渉を行いましょう!