経費削減には色々な方法がありますが、削減効果が高いのが複合機、コピー機、プリンターといった印刷機器の見直しです。

多くの会社がコピー機などを導入していますが、見直す機会がなかなか無いのが現状です。実際には利用状況に見合わない過剰に高性能で高価な複合機などが納入されていたり、リース料金に見合わない性能の低い複合機などが納入されている場合もあります。ランニングコストであるカウンター料金も見直しがされないまま、高い単価で契約を更新しているケースもあります。

契約内容を見直すことで大幅に経費削減が可能ですので、参考にしてみてください。

自社の複合機の契約状況・使用状況を確認

①現状を把握する

比較の前に、まずは自社の複合機の契約状況・使用状況を確認しましょう。

現状をきちんと把握することで、サプライヤーを比較する際の基準を明確にでき、より自社に合ったサプライヤーを選ぶことができます。主に、以下のような確認項目があります。

■契約状況
・契約台数
・部署ごとで異なるサプライヤーと契約していないか
・料金(本体料金、カウンター料金、オプション料金)
・契約期間
・保守費用

■使用状況
・印刷枚数
・白黒/カラーの割合
・オプションの利用状況
・現場が不便・課題を感じていることはないか

②毎月の費用を算出

複合機・コピー機、プリンターに毎月どの程度のコストがかかっているのかを計算してみましょう、。費用は、「機器代金」、「使用量」、「その他料金」の3つの合計によって算定されます。それぞれの詳細は以下の通りです。

■機器料金
機器代金とは、複合機・コピー機の代金のことです。初期費用の掛からないリースを選択して導入していることから「リース料金」と呼ばれることが多いです。リース料金は、コスト上大きな割合を占めています。

■使用料:カウンター料×枚数
カウンター料とは、1枚当たりの印刷に要する単価のこと。トナー料金や、修理費用も含んでおり、モノクロとカラーでそれぞれかかっています。

■その他料金
その他料金は、契約形態によって設定されるサポート料金や、付属設備の料金などを指します。

現状を把握出来たら、次は具体的にコスト削減についてアクションしてみましょう。複合機・コピー機、プリンターのコストを削減する方法は大きく2つあります。

コストを削減する方法

1.複合機・コピー機のスペック最適化

複合機・コピー機のコスト削減は、企業の規模/利用状況に合ったものに切り替えを行うだけでも、大幅なコスト削減が可能になります。ファックスやスキャナーを別々に購入・利用しているオフィスでは、それらを複合機一台にまとめることでリース料を抑えながら、省スペース・省エネが可能になります。

<事例>別途導入していた各機械をまとめ、コストや印時間を大幅削減

十数年前にモノクロのデジタル印刷機を導入し、地域の高齢者に向けたチラシを内製で印刷してきました。しかし、印刷機の経年劣化に伴い、インクが擦れたり紙詰まりを起こしたりするなど故障が増え、印刷にかかる手間と時間が増えていました。また、コピー、スキャナー、ファクスなどを利用するために複合機も別途導入していたことから、事務所スペースに圧迫感がありました。今回、高速カラー印刷と複合機の機能を併せ持つプリンターを導入したことで、トータルコストや印刷にかかる時間を大幅に削減しています。

ちなみに、リース料金は、数年前の契約時に適正だと思っていた金額やサービス内容が、時が経てば適正では無くなってしまうケースがあります。これは、リース契約は解約できないというルールがあるためです。しかし、今のリース契約を組み替えて新しい契約を結ぶことができます。

機械や契約内容の見直しを図ることができるこの方法で、お客様の環境に合った内容でコピー機・複合機を利用いただけます。リース料金と共に発生する月々のランニングコストや利便性の見直しを実現できる大きなチャンスにもなります。

<事例>リース契約の見直しで、年間150万円ものコスト削減

各施設に置かれた複合機、本部にあるサーバー、VPNなどのリース契約や利用状況などについて綿密な調査を行いました。その結果、リース契約を見直せば、基本契約料はさほど変わらないものの、保守代金が大きく削減され、用紙代金もかなり減らせることが分かりました。最終的に、リース契約料と用紙代を合わせて年間1,450万円かかっていたものが1,300万円まで抑えられ、年間150万円ものコスト削減を実現することができました。

2.カラー印刷の廃止、印刷枚数の抑制(ペーパーレスへの移管)

機器本体のスペックなどの見直しと共に、利用状況についても以下のステップによって見直しをはかれます。

  • 利用状況を分析
  • アクションの設定(ルール変更、デフォルトの設定変更、ペーパーレスする書類の特定、一人当たり枚数目安の設定など)
  • 印刷枚数のモニタリング

<事例>全国169店舗の出力機器を入れ替えによる大幅コスト削減

島村楽器は、全店舗の出力機器を入れ替えた。その結果、POPなどトナー消費の激しい出力コストも安価に平準化され、毎月200~300万円、年間で約2,500万円の大幅なコスト削減を実現しました。同時に、スキャン機能で各店舗の書類データを本部へデジタル送信することで、郵送コストも削減。また複合機で受信したFAX文書は、印刷せずにそのままデータとして保存できるので、ペーパーレスにも貢献しています。

<事例>機能の改善によるペーパーレス化

出力データをいったん複合機・プリンターのサーバーに蓄積し、利用者が操作パネルで自分の出力文書を確認してから出力を行うようになったことで、プリント時のうっかりミスの削減や印刷物の取り違えの回避につながりました。以前はPCで指示した印刷データが即座に出力されてしまうため、間違った文書も一緒に印刷するしかなったのですが、操作パネルで出力文書を確認したうえで印刷する機能により、こうしたミスを回避することが可能になりました。

コスト削減効果は?

◆インパクト: 中 小
◆難易度:★★☆☆☆
◆効果発現時期:短期 中期 長期

DX化が進み、紙文書でのやりとりが減りつつある昨今。しかし、電子化を本格導入するには、制度上さまざまな足かせがあるなどの障壁や心理的なハードルによって、なかなかペーパーレスに踏み切れない企業も多かったのではないでしょうか。

そのような中、2022年1月には電子帳簿保存法改正が試行され、電子データ保存の利便性が向上しています。こうした社会的な流れを捉えて、ぜひ複合機、コピー機、プリンターの機器の見直しや印刷に関する見直しに取り組んでみてはいかがでしょうか。