前回はディスクロージャー関連の印刷費とは何か、なぜコストを見直すハードルが高いのかについてや、印刷費の計算方法をお伝えしてきました。今回は、ディスクロージャー費を削減する具体的なアイデアや、注意すべきポイント、主要なサプライヤー2社をご紹介します。

ディスクロージャー印刷費を削減するアイデア

・現状の印刷動向

ディスクロージャー印刷費は近年、ディスクロージャー関連会社の中で競争が激化しており、単価が下落傾向にあります。つまり、現状の印刷費よりも少なくなる可能性が高いです。

また、会社にとって重要な業務であるディスクロージャー自体に見込まれる影響が少なく、低リスクで削減が可能な分野です。ディスクロージャーのコスト削減を考える上で、まずは取り組みやすい品目の一つです。また、印刷費だけを切り出して依頼することが可能なので、比較的取り組みやすいです。

・定期的な相見積もり・価格交渉

ディスクロージャー費を削減するアイデアとしては、定期的な相見積もり・価格交渉です。相見積もりは、契約条件を交渉する際に有効なプロセスです。比較購買を定期的に行うことで、現在の価格よりも良い条件を獲得できる可能性があります。

しかし、相見積もりで注意すべき2つのポイントがあります。

相見積もりで注意すべき2つのポイント

Point1. 自社のディスクロージャー費の可視化

まずは、相見積もり・価格交渉に向けて、現状自社で支出しているディスクロージャー印刷費用と業務委託内容の内訳を把握しましょう。具体的には、開示書類作成・原稿のチェック・印刷・Web公開・翻訳などがあります。これらの項目を設けた後、実際に支出金額を査定していきます。

業務内容の内訳を知り、何の業務をいくらで委託しているかを把握しておくことで、項目ごとの比較が可能になります。結果的に、明確にコスト削減できる項目を可視化でき、自社に必要・不必要な業務が見積もりに入っていることの可否を確認することができます。例えば、招集通知の印刷を委託する場合、カラー印刷を無料で対応してくれる業者もいれば、追加料金が必要な業者もあります。予期せぬ追加料金が必要になった場合、追加料金だけではなく、価格交渉のための新たな打ち合わせ費用もかかるので、注意が必要です。

きちんと内訳を明確化しておくことでコスト削減の余地を可視化し、予想外の支出を防ぐことができます。内訳を前もって一つ一つチェックするとよいでしょう。

Point 2. サプライヤー選定条件のチェック

コスト削減余地が可視化されたら、次はサプライヤーの選定条件を検討しましょう。

選定条件は、価格、品質、納期など様々です。特にディスクロージャー及びIR関連書類の印刷は、納期を守ることが会社の信用性に大きく関わります。そのため、想定している納期通りに納品が可能な業者かどうかを必ず確認しましょう。

主要なサプライヤー2社をご紹介

ディスクロージャーに関しては、専門性や正確性が要求される分野であるため大手サプライヤー2社が寡占状態になっています。両社ともに、開示業務支援システムを用いた印刷を提供しています。それぞれの特徴を見てみましょう。

プロネクサス

・法定書類の国内シェア率約60%
・2018年3月時点で、有価証券報告書・株主総会の招集通知いずれかを2233社と取引している。リピート率も高く、96%以上がサービスを継続している。
・新規上場企業の「上場申請書類」作成も行っており、上場時点での依頼も可能
・「J-REIT」や「投資信託」等の金融商品ディスクロージャーにも注力

宝印刷

・法定書類の国内シェア率約40%
・2018年の時点で1962社と取引を行っている。
・「TOKYO PRO MARKET」の上場審査を行なう「J-Adviser」資格を取得するなど、コンサルティングサービスを強化している。

コスト削減効果は?

◆インパクト:大  小
◆難易度:★★★☆☆
◆効果発現時期:短期 中期 長期

 

2回にわたってディスクロージャー印刷費のコスト削減についてご紹介してきました。なかなか見直すことが少ないディスクロージャー印刷費をこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。