人件費削減と聞くと、リストラや希望退職といったネガティブな印象を持ったり、大胆かつデメリットが多い削減方法を連想する方も多いのではないでしょうか。人件費は、固定費の中でも占める割合が大きい費用です。そのため、人件費を削減することは、コスト削減の大きなインパクトにつながることも多いことも事実です。
事業運営上、止む終えない人件費というコスト削減を行う場合は、取るべき打ち手とその順序を間違えてはいけません。ネガティブなイメージを払拭するためにも、適切なアプローチ方法と、実行前に押さえるべき点についてご紹介します。
人件費削減を進める前に押さえておきたい2つの留意点
人件費削減を闇雲に始めようとすると、管理部門や該当部署の社員の負担が起こります
それがマイナスな影響を及ぼして、目指すコスト削減目標に達しないことにつながりかねません。人件費削減が失敗に終わらないように、気を付けるべきことが2つあります。
段階的・継続的に計画を練る
人件費はそれ自体が利害関係者の多い費目であるため、複数の問題が生じやすいのも事実です。
大胆なコスト削減策の方が多くのコストを削減できると思われるかもしれませんが、それは大きな誤解です。一気に大規模な人員削減を行うと、管理体制の細部に支障をきたすリスクがあります。予期せぬ問題が複数出てしまうと対処できず失敗に終わることもあり得ます。
例えば、ある業務を削減すると決め業務担当者を完全に部署異動する場合、その決定がミスだったとしても後戻りが難しくなることがあります。 細かな作業内容の留意点が引き継がれないため、一から業務を再開しなければいけない上、部署異動となった人たちもその都度元の部署に戻りサポートしなければいけず、本業務に集中できません。
このようなケースを防ぐために、段階的・継続的に計画を練ることが必要です。少しずつ削減に取り組み、PDCAを回しながら対処してみるとよいでしょう。
業務量の削減から始める
まずは業務量の適正化を行うことからはじめましょう。適正な業務量に準じた要員計画を考えることが重要です。
人件費を削減するというと、多くの企業は人を減らすこと、つまり要員の適正化に取り組みがちです。しかし、要員の適正化から始めると、その業務の必要性を判断せずに、人員を割り振るため、優先度の低い業務に取り組む人も出てきてしまいます。
例えば、10人が50個のタスクを一日にこなしているとします。この状態で人員を9人に減らしたとすると、どうしても一人当たりのタスクが増えてしまい、負荷をかけてしまいます。また、それぞれのタスクにかかる工数が統一されていないため、人によって忙しさが変わります。
一方、業務を棚卸しし、50個のタスクを重要な45個に絞ることができればどうでしょうか。1人あたりのタスク数を変えずに、要員を9人に抑えることができます。この後に、要員計画を業務の得意・不得意によって練る直すことで、さらに人件費を削減することができます。
このようにそれぞれの業務に優先度をつけ、優先順位の高いタスクに対して要員を配置することで、社員に負荷をかけずに人件費を削減することができます。
いかがでしょうか。人件費削減を進める前に押さえておきたい留意点としてまずは、段階的・継続的に計画を練り、次に業務量の適正化を行った後、要員計画の適正化を行う、ということで、無理なく人件費を削減することができるでしょう。参考にしてみてください。