”値引き交渉”と聞くと、みなさんはどんなイメージを持ちますか?
ビジネスの場面で、製品やサービスを購入する際など、できるだけ安価に調達できるよう、適切な方法で値引き交渉をしたいですよね。値引き交渉と言っても、取引先との関係性を保ちながら進める必要があります。
今回は、よくある問題点をポイントを抑えながら誰でも有利に値引き交渉できるスキルを紹介しています。
値引き交渉のよくある問題点と解決方法
⒈値引き交渉できるかを見極める
みなさんは”そもそも値引き交渉に向いていない調達物に対して交渉を行なっている”ことはありませんか?
値引き交渉は、交渉する余地がある場合にのみ有効なので、交渉する余地がない相手に対して試みるのは難しいです。
交渉する際には、調達物の粗利率とサプライヤーが置かれている競争環境かを確認する必要があります。
まず、粗利率とは売上高から売上原価を差し引いた粗利の割合のことで、粗利率が大きいほど製造に必要なコストが小さいことを示します。つまり、粗利率が大きい製品の方が、粗利率が低い製品に比べて値引き交渉によって下げることができる金額の余地が大きいということになります。
次に、サプライヤーの競争環境、事業の成長率や、市場シェア率など様々な指標を見ることにより、値引き交渉がしやすいのかどうかを判断できます。サプライヤーの競合企業が多くいる場合は、値引き交渉も許容してくれ、値下げが行われる可能性が高くなります。
<値引き交渉に向いている主な調達物>
携帯電話
電力代
コピー機
クレジットカード手数料
インターネット回線
消耗品
⒉値引き交渉に欠かせない事前準備の4つのポイント
値引き交渉は事前の準備が肝心です。役立つ事前準備をしないで交渉を試みても、納得がいくまで価格を下げることが難しくなってしまいます。
事前準備で大事なのは以下の4つです。
- 市場価格情報を調べて比較する(ベンチマーク比較をする)
- 調達物の製造にかかっているであろうコストを調べる(原価積算)
- 調達量を明確にし、1つのサプライヤーに集約する
- 期間や発注頻度を調整する
①市場価格情報を調べて比較する(ベンチマーク比較)
まずは、調達物の市場適正価格をリサーチをして、複数の同業他社に相見積もりを取ることです。
相見積もりを取ったうえで交渉をする際は、以下4つが重要です。
- 同条件での見積もりを取る
- 予算・納期を伝える
- 他社がどの程度安い見積もり価格なのかを事前に伝える
- 料金の内訳を確認し、再検討したい部分を伝える
まずは、数量や契約期間などが公平に判断できるものか確認し、相見積もりをとる企業間で、予算・納期を統一して見積もりをもらいます。きちんと必要事項を伝えることが必要不可欠となり、場合によっては再見積もりをとることも忘れずに実施しましょう。
②調達物の製造にかかっているであろうコストを調べる(原価積算)
2つ目に、サプライヤーがサービス提供に要するコストを推計する(原価積算)し、実際の見積価格と比べることです。
原価を推計するステップは以下3つの手順です。
⑴見積もりの内訳を見る
⑵原価を積み上げる
⑶理論価格を出す
見積もりを取る際に、各コストの内訳価格を見ることで、調達物の大雑把なコスト構造を把握します。
原価を、実際に必要なコストを要素別に分解し、実際に各要素に積算資料などを参考に、一般的な市場価格の数字を入れ理論価格を計算します。
例えば、ビルの清掃を業者に依頼した場合の1ヶ月の清掃費を分解し推測した場合。
600,000円(人件費) = 5人(作業人数)× 60h(作業時間)× 2,000円(賃率)
10,000円(設備・備品代) = 40,000円(使っている備品の単価) × 3/12(個数/交換期間)
67,000円(取引先利益) = 業界から推定して10%と仮定
合計 677,000円
③調達先を1つのサプライヤーに集約する
3つ目に、スケールメリットを効かせて、契約条件を適正化することです。サプライヤーにかかるコストは、販売数量に対して変動費は増加しますが、固定費は変わりません。分散している発注先を1つに集約させ、発注数量を増やすことで支払い単価を下げる努力が必要です。
④期間や発注頻度を調整する
最後は、契約期間や発注頻度をサプライヤーにとって都合の良い時期に調整することです。
たとえば、サプライヤーの決算時期に合わせて製品を購入すること、今まで1ヶ月に1度発注していた製品を、3ヶ月に1度の発注にまとめるなど、工夫次第でノーコストで価格交渉を実現する方法もあります。
決算時期や発注手段を見直し、先方が妥協できそうなポイントを探しておくことも、価格交渉につなげるために有用でしょう。
次回は、最後の問題点と解決方法について紹介します。