第2回では、価格交渉の決め手となる事前準備の方法を解説しました。第3回では、実際の価格交渉時に役立つ3つのスキルについてご紹介をいていきます。

価格交渉時に役立つ3つのスキル

実際の価格交渉では、思い通りにいかないことも多々あります。そのような際に、交渉スキルを知っているかいないかが、成否を分けることもあります。覚えておくべき3つのスキルを紹介していきます。

スキル1:発注条件の緩和

価格交渉で上手く行かない場合は、「指定している発注条件を変更する」ことにより、価格を落とすことができるかもしれません。

発注条件を変更するとは、製品の仕様を変えることや、プランを変えることが該当します。例えば、製品のスペックを少し落とす、などが挙げられます。これによって、サプライヤーに安価な価格を打診することができます。

発注条件を緩和するときは、まず社内に対して、その要件が本当に必要なものかどうかをヒアリングすることが求められます。その上で、不要だと判断した要件を排除し、発注条件を妥協することにより、社内に負担なく価格を抑えることができます。

スキル2:競争環境の醸成

「サプライヤー側の競争環境をさらに厳しくすること」も有効なスキルです。

価格交渉先のサプライヤーは、多くの場合、競合他社がいます。これらの競合他社との競争環境をさらに強めることで、より良い価格を引き出せる可能性があります。

競争環境を醸成するための工夫として、2つの手軽な方法があります。

1つ目は、「競売・入札制度の導入」です。相見積もりを取っている企業に対して競売制を設けることにより、競争環境が目に見える形になり、より良い価格を引き出しやすくなります。

2つ目は、「同一サービスだけでなく、類似サービスにも相見積もりを取ること」です。例えば、携帯電話で大手キャリアのみに相見積もりを取る場合と、MVNO(格安SIMを提供する事業者)も含めて相見積もりを取る場合では、価格交渉の成果に差が出てきます。

このように、社内のニーズに合致する類似サービスも含めてリサーチし、相見積もりを取ることにより、より価格交渉がしやすくなります。

スキル3:決裁権限者を引き出す

価格交渉を行なっていても、サプライヤー側の決裁権限者にその旨が伝わっていないと、うまく交渉ができません。実際、サプライヤー側の担当者が決裁権限者に伝えていないことにより、交渉が進展しないケースも多いです。そのような状況の解決策として、「自社の役職者を交渉の場に出し、先方の決裁権限者を引き出す」方法が挙げられます。

自社の役職者を交渉の場に出すことで、サプライヤー側の認識における会議の重要度が上がり、決裁権限者が出てくる場合が多いです。直接、決裁権限者と交渉することにより、スムーズな価格交渉ができます。

まとめ

価格交渉の際に気を付けるべきポイントをご理解いただけましたか?

非合理的な条件を突きつけての価格交渉は、不毛なやりとりになるばかりでなく、取引先との関係性を傷つけることにも繋がりかねません。解説してきたように、価格交渉は、その製品が交渉余地のあるものなのかをきちんと把握した上で、事前準備をしっかりと行うことが基本です。その上で、交渉条件をサプライヤーに正確に伝え、必要なスキルを実践することが、交渉を有利に進める秘訣です。本記事で紹介した、ポイントを再度見直し、効果的な価格交渉に取り組んでみてください。