みなさんは、自社のディスクロージャー(上場関連)費がどのくらいなのか把握をされていますか。特にディスクロージャーに関連する費用の中でも、ディスクロージャー印刷費として注目してコスト削減に取り組む企業は少ないように思います。
しかし、ディスクロージャー印刷費を見直すだけで、年間約30%のコスト削減を達成した企業もあります。この機会に、ディスクロージャー関連の印刷費用を見直してみてはいかがでしょうか。
ディスクロージャー関連の印刷費とは
ディスクロージャー(Disclosure)とは、企業による私的情報開示のことです。 法令等で開示が要請されるディスクロージャーを強制開示と呼び、要請されていないものを任意開示と呼びます。強制開示の例として、金融商品取引法で開示が要請されている有価証券報告書が挙げられます。また、任意開示の例としては、アニュアルレポート、決算説明資料やIR活動などが挙げられます。
つまり、ディスクロージャー関連の印刷費とは、上場企業に提出が義務付けられている有価証券報告書や四半期報告書などの必要書類などのことをいいます。これらは定期的にかかる経費であるにも関わらず、コスト削減としてあまり見直しがされないケースが多いです。その理由は2つあります。
1つ目は、削減余地がどこにあるのかわからないからです。ディスクロージャーを委託する際、内容が不明確のまま報告書の作成を依頼してしまいがちです。削減余地を理解するためには、書類の作成から財務局・取引所に提出されるまでの工程で、どのように費用が発生するのかを正確に把握することが重要です。
2つ目は、印刷会社との契約が更新されにくいからです。ディスクロージャーは企業が信頼性を構築する上で、極めて重要な業務です。そのため、一度印刷会社に作成・印刷を依頼すると、契約内容を再考しないまま、結果的にディスクロージャー費用の契約更新がされずに、自社の費用が相場より高すぎる条件になっている可能性があります。
ディスクロージャー印刷費の計算方法
自社でコスト削減に取り組んでみようと思ったら、まずは、どのようにディスクロージャーのコストが決まるのかを実際に計算してみるところから始めましょう。
必要書類の提出の際にかかるコストは、主に2つです。
有価証券報告書・四半期報告書の作成費
有価証券報告書・四半期報告書の作成は、書類が複雑で専門性が高いため自社内で作成することが難しい業務です。ほとんどの場合、ディスクロージャーに特化した印刷業者が作成をサポートしています。
費用は、「報告書の作成ページ数」と「ページ数あたりの単価」、「打ち合わせ費用」の合計によって決定されます。
「報告書の作成ページ数」×「ページ数あたりの単価」+「打ち合わせ費用」
有価証券報告書・四半期報告書の印刷費
次に、作成した報告書を配布するための印刷費がかかります。印刷費は「報告書の作成枚数(部数・ページ数)」と「一枚あたりの単価」によって決定されます。
「報告書の作成枚数(部数・ページ数)」×「一枚あたりの単価」
ページ数あたりの単価はサプライヤーにより異なるので削減の余地があります。また、打ち合わせ費用も打ち合わせの回数を減らすことで、削減が可能となります。また、一枚あたりの単価は、利用する印刷会社・交渉状況・紙の種類等によるので、削減余地があります。
その他にもシステム利用料や発送費でも削減可能です。
システム利用料とは報告書作成にあたっての企業内の会計情報やExcel基礎データを管理・整理する際にかかる費用のことです。また、近年オンラインでのIR情報開示や、EDINETでの報告書提出需要の増加で、様々なWeb IRサービスが市場に出ています。データ処理を行うシステムやWeb IRサービスの利用料は全てシステム利用料に分類されます。また、発送費とは株主総会の招集通知・決議通知の発送実費などの細かな費用です。
これらは利用する契約会社やサービスにより価格が異なるので、比較することでコスト削減余地があります。印刷費だけでなく、これらも含めて一度コストを見直してみることをおすすめします。
次からはディスクロージャー印刷費を削減する具体的なアイデアについてご紹介します。